手紙が告げる母の老い

私は大学に入学以来、20年以上母親とは別居しています。すでに父親は亡くなり、母親は70代前半の年齢となりました。父親が亡くなってからというもの、母親はなぜか電話をかけてこなくなり、代わりに2ヶ月に一度のペースで手紙を書いて送ってくるようになりました。私が仕事で忙しくなり、電話に出られないことがあることも一因かもしれません。

手紙の内容は、母親の日常を書き記したものが多いです。具体的には「最近は暑くなってきたね。お互い熱中症にならないように気をつけようね」といった季節の挨拶で始まり、「お墓参りは毎月行って、墓石もきれいに掃除しているから心配しないでね」と必ずお墓の掃除をしていることを知らせてきます。

そして「近所の〇〇さんが、先月亡くなりました。だんだん近所の同世代の人がいなくなって寂しいです」とか「自宅のテレビアンテナが傾いたので、近所の電気工事屋さんに直してもらった」などと近況が綴られています。

手紙の終わりには「休みを取れたらたまには家に遊びに来てください」と書いてあり、小さな封筒が手紙に同封されており、中を開けるとたいてい1万円札が2枚入っているのです。

私は母親からの手紙を読むたびに、母親の老いを感じます。そして、一人暮らしで寂しさを感じているのだなとも思うのです。できれば私に田舎に帰ってきてほしいと思っているのかもしれません。

一度手紙に「私もあと10年くらいで死ぬのかと考えると憂鬱になります」と書かれているのを読んだときは、こちらの気持ちも重苦しくなってしまいました。

母親の心情を察すれば、実家に帰って定住してあげたいですし、それが無理でも頻繁に実家に帰ってあげたいと思うのですが、もはやそれは無理だと思うと切なくなってきます。母親との永遠の別れが、もしかしたら数年以内に迫っているのかと思うと、手紙を読むたびに胸が痛むのです。

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